|
TOPへ
1.拳の型(基本型)
- 東八拳を打つのに必要な所作や基本の型は,たくさんは有りません。
まず対座して礼をします。
- 「しぼり」
最初の所作は 「しぼり」 と言い、親指が重なるように両の手のひらを合わせ、斜め下前方に突き出します。
- 狐の型の基本形
両手を開いて、手のひらを相手に見せて、ハの字型にし、目の高さ,顔の幅というのが適当でしょう。 出来れば指を少し反るくらいが良い形です。親指は熟達者が粋に開いたりしますが最初はそろえて覚えましょう。
- 鉄砲(猟師)の型の基本形
右手で鉛筆のような物を握ってみてください。人差し指は伸ばし、鉛筆の先端は出ないように持ちます。まるで「この指とまれ」をやっている感じです。これは鉄砲ですから人差し指で引き金を少しずつ引きます。そして人差し指と親指の爪と爪が合ったところで止めると、丁度いい感じの鉄砲の型が出来ているはずです。 左手も同様の形にして、右手は相手の胸ぐらめがけて突き出し、左はおへその前あたりにやはり相手の方を向けて構えます。
- 庄屋の型の基本形
なんと言っても「庄屋」ですから、堂々と背筋を伸ばして手のひらを下にして、両手を膝の上に置きます。やはりお侍さんのように膝の中程にハの字に置くと良いでしょう。
TOPへ
2.ルールとマナー。
- ルールとマナーとあえて両方記述してあるのは、やはり伝統文化ですので、ルールだけで競技が進められない 部分が沢山あり、礼儀作法がとても重要なのです。 ルール通りにやっているのだから問題ないだろうと好き放題やっていますと周りからひんしゅくを買ったりすることになりますのでマナーもしっかり覚えてください 。
- 基本的には三回続けて勝てば一本取ったことになり、そして二本先取した方が勝者になります。
- 基本型の定義ですが、手のひらが見えていれば、多少手の位置が違っても狐とみなされ、手が鉄砲の型をしていれば、同じく多少手の位置がずれていても鉄砲と見なされます。庄屋は基本的に手のどこかの部分が膝に触れていれば庄屋と判断されます。庄屋の場合、手のひらを上にした状態とか鉄砲の形のまま膝に触れるとどうなるかという議論もありますがこういう紛らわしいことはしないのが礼儀でしょう。
- 安政三年刊 「拳早指南」より抜粋
-
- 「見聞よろしきをむねとして、なに拳にてもきたなき手をすべからず。手ぶりいさぎよからねばその人の心もおしはかれて興さむるものなり。まけしとてあながち恥にもならず、勝ちしとて子孫相続のほまれにもなるべからず。」
-
-
勝負の時にそれぞれの型を繰り出すわけですが、必ず変化を必要としますので、同じ型を出すときでも少し違った型を出さなくてはなりません。それぞれの変化型については後述の競技の進め方の中で説明いたします。
-
一回目の勝ちを自分で認識したときに「タチ」と発声します。3回連続のうちの一回目をクリアしたのだぞと相手や周りの人に知らしめます。しかしこの発声を怠った場合でもその後の二本を見事に続けて勝てば問題はありません。つまりこれはマナーな訳ですが、たびたび言わないと師匠にしかられるでしょうし、年中やっていると仲間から嫌われます。まあ、かなりきつめのマナーと思ってください。(注:「タチ」は「トウハチッ」からきた発声と言われています)
-
続けて二回勝ったときに「ニノ」などと発声する事がありますが、これは余裕が有れば発声していただければ良いでしょう。
-
いよいよ続けて勝って三回目の手を出すとき(三回勝った後ではない)、「チョイ」、「サボ」(三本の意味)、 「トリヤ」、「ドン」などと発声します。これはとても個性が有って、流派の中でも個人差があり、それぞれのキャラクターに合った発声をすると良いでしょう。これも「タチ」と同じで言わないと勝ちを認めてもらえないと言うわけではありません。「タチ」と、この発声は両方共言えればなお良いのですが、片方を言えなかった場合でも、どちらかをキッチリと発声していればマナーとしては許されます。 万一両方とも発声せずに三回続けて勝ってしまったときは、相手に一切の警告無しに勝ってしまったのですから「失礼」くらいは言うべきでしょう。
-
三回連続で勝った場合、勝負が合った直後に手を叩き(手を締める)、「パチン」と音を立て、そこで打拳を中止します。これは、私が三回続けて勝ちましたという宣言になります。これをしないとせっかく勝った勝負も流れてしまいます。
- 後出しは反則で、勝っても勝ちは認めてもらえません。
- 独特の三本目ルール(連続勝ち三回目のとき)
東八拳をとても面白くしている要素の一つに三本目だから許されている幾つかのルールがあります。一本目も三本目も同じように出さなくてはいけないのなら、ジャンケンの三回勝負と同じで運の良い方が勝って当たり前なのですが、東八拳の場合、三本目はルールが非常にゆるやかになっており、そこに技巧の入り込む余地が有るわけで、以下のことがすべて許されます。
- 一呼吸早い発声と打拳
同じリズムで打っている時に、ほんの一呼吸早めに発声をしますと、リズムをくずされた相手は一瞬とまどいます。さらに発声と同時に打拳もすると相手は一緒に出さなくてはならないような気がして、うっかり思うつぼにはまってしまいます。(早出しは反則ではない)
- 一呼吸早い発声で遅い打拳
1.と同じに一呼吸早く発声をしますと相手はどうしてもその発声につられて早めに出してしまう傾向が生まれます。その後で相手に勝つ手を出すわけですが、通常のリズムに遅れて出せば後出しになって しまいますので、ギリギリのタイミングで素早く出しますから熟練を要します。
- フェイント
例えば、狐の手をしていて次は三本目というときに、おもむろに手を下げていくと一見庄屋に行くと思うのですが下がりきらないところで鉄砲の手に早変わりしたり、または手が下がっていくのに狐のままでいる場合もあります。このようにフェイントとなりうる手さばきは沢山ありますが、あくまで三本目だから許されているということを忘れてはなりません。一本目や二本目にフェイントとなるような紛らわしい手裁きをすると反則とはならないまでも打つ人の人柄までおしはかられて、対戦者は不愉快になります。
-
ギリギリまで待って、後出し寸前で少しの変化で手を出す。
これも熟練を要しますが、相手が何を出すか予測が付くぐらいまで待って、後出しの反則ギリギリで出すのですが、ギリギリまで待ったために大きな手の移動は出来なくなり、庄屋からほんの少し手を上げて狐にしたり、狐の手の位置のままで手の形だけ鉄砲にしたりします。
-
その他
ここぞと言うときは大声を出して相手が固まっている隙きにちゃっかり勝ってしまったりする人もおりますが、相手のその日の手筋の傾向を読んで、心理的に追い込むのが上手な人のテクニックです。
TOPへ
3.競技の進め方
|